碧空878 「再登場」の衝撃4(個虫の出没)
878 「再登場」の衝撃4(個虫の出没)
屋敷に取り憑くようにMiss Coldfieldの声帯に棲み憑いた南部深奥のゴーストは、Quentin の到来を43年待ち侘びたMiss Coldfieldの姿(form)になって打ち消されているのであるから、Miss Coldfieldの場所(form)となって潜伏したゴーストこそは本当の宿主であり、Miss Coldfieldの出そうな場所であり、43年待ち侘びたMiss Coldfieldの居る黄ばんだ「the Office」に変装している。同じようにして、formの次元がスリップしながら、Miss Coldfieldの声に耳を傾けるQuentin の受信は、Quentin の聴力に感染して名前が入れ替わったゴーストを発信の本源としている。このことが「伽藍」として機能するQuentin である。Quentin は打ち消された南部深奥に系統発生的形式としての「私」のように名前が入れ替わって「南部深奥」が発芽するundead状態で、聞いてはならないおぞましい影、声の影を聞いてしまう。(「Absalom,Absalom」)
キャディが兄と同じくクェンティンと呼ばれることになる娘を婚前に身ごもったのは密通や近親姦の精ではなく、発芽の精、南部深奥の有性生殖が落とすおぞましい影は、実はスイカズラより無明の無性生殖が薄気味悪く迫るのである。クェンティンの、針も蓋ももがれてわけもわからずカチカチ鳴る懐中時計は、こうした、南部深奥を孕んだ無明の発芽、個虫の出没を告白している。(「響きと怒り」)


0 Comments:
Post a Comment
<< Home