Thursday, November 03, 2016

碧空881 「再登場」の衝撃7(個虫)

881 「再登場」の衝撃7(個虫)  「響きと怒り」がtabula rasa に吸い込まれる、その三つの目印が、1928,4.7「白痴状態」、1910,6.2「伽藍」、1928,4.6「皮肉」、そして四つ目は1928,4.8 「演劇的分業」である。そこでは、tabula rasa は、まるでエネルギーの階級が違うかのように個虫が(わけもわからず大小の歯車がカチカチ回る懐中時計のように)部分の振りをする演劇状態である。  コンプソン家の有性生殖は無性生殖に呑み込まれるが、それはコンプソン家の没落のことではなく、いつまでも1にならないことが1であるようなformの次元スリップである。クェンティンがジェイソンの貯めた隠し金を残らず窃盗してショウの男と駆け落ちすることで劇化することは、すなわち、そのような出来事を通して(顕微鏡のようなのぞき穴にして)拡大して見せることは、コンプソン家の終焉とか誰であるか何であるかを問う夢想とかではなく、誰と入れ替わったのか分からない個虫の演劇状態、すなわち、釘で十字に固定したくなるようなクェンティンの出没の(胸部を食い破って出るAlienの幼虫のような出没の)もの凄い速度である。それは、ジェイソンがどう皮肉を十字連射しても展翅できない。  もの凄い速度とは、程度としてのスピードではなく、部分と全体の区別がおかされるスリップである。物語からの生還の衝撃が保存できないのは、もの凄い速度(formの次元スリップ)だからである。

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