Sunday, November 13, 2016

碧空888 スイカズラのようなErosの萌芽(無性生殖の気配)

888 スイカズラのようなErosの萌芽(無性生殖の気配)  ヘンリーがチャールズ・ボンを射殺した後、カリフォルニアでも南米でもデルタの暗部でも何処へ姿を晦まそうとヨシャパテの谷が拡大、延長するだけで、擬死か、擬死のエラーか、逃げ場はない。一方、被凌辱的に拉致されるかのように置き去りにされた二人の独身女Rosaと、その四歳年上の姪Judithの、その、表面が潰された時計はわけもわからずカチカチ鳴っているが中間突破しない。鳴っているだけの、いくら突進しても止まっている奇妙な蝋屈、それは、いつまでも生まれて来ない妊娠状態である。(「Absalom,Absalom」)  それは無性生殖の記憶が、スイカズラのようなErosの萌芽の、その場所や疚しさや反対命題となって潜伏しないのである。南部鼠蹊部でローザやジューディスが体した蝋屈とは、そのような氾濫、サトペン荘園を藤生の植物が覆い尽くすような荒廃、というより獰猛、というより無傷満足な無性生殖の気配である。それはErosというものの不可解な分業の試みを、唐突に取り消すように気配づく。

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