Tuesday, November 15, 2016

碧空889 増殖であるかに見えるもの

889 増殖であるかに見えるもの  夢想としての1の危機、Erosの危機、言葉の危機は、危機のままに萌芽であるが、着床ではない。  ジューディスはサトペン系とコールドフィールド系がぶつかって渦巻くように打ち消し合っていて、ローザがいくら突進しても止まっている蝋屈は階段の頂上に音もなく立ちはだかるジューディスが世界の終わりであるからであるが(従ってジューディスの墓標はこの極端に私的な「世界の終わり」の目じるしであるが)、この、蜃気楼じみたサトペン屋敷の鼠蹊部は(個虫が部分の振りをする)Erosの取り消しである。老ローザは、この夢想としての1、言葉、Erosの危機、萌芽と区別のつかない取り消しを、閉ざされた扉越しに予言しようとする。というよりそれは薄暗い廊下に潜む予言なのである。この予言は、ナイル河流域の神殿が水底に沈まないように切り分けたり持ち上げたり手段を尽くして移築されたように、不断に分節して移されなければならない。それはまるで増殖であるかに見える。この増殖であるかに見えるものこそは、Absalom,Absalom!である。  Miss Rosa Coldfield がヨクナパトーファ郡ジェファソンにどのように棲息するかは、救済のように出現して通り過ぎるOld Ben(「熊」W.Faulkner )が南部鼠蹊部の森林にどのように棲息するか、と同じ「個虫が部分の振りをする」気配に属する。

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