Thursday, November 24, 2016

碧空895 「最初は二人で、それから四人になったが、また二人になった」(「Absalom,Absalom」)

895 「最初は二人で、それから四人になったが、また二人になった」(「Absalom,Absalom」)  マサチューセッツ州ケンブリッジの、墓穴のような部屋で、クェンティンとシュリーヴが、二人の小サトペン(ヘンリー・サトペンとチャールズ・ボン)が馬を駆ってサトペン屋敷を棄てて失踪し、どのようにして南軍ミシシッピ歩兵連隊のただ中で耐え、耐えていたかを、命令系統のただ中で連隊長トマス・サトペンが歩兵ヘンリー・サトペンを呼び寄せ一体何を告げたかを、どのようにして泥沼の退却を続ける軍を脱け出して(重婚と近親相姦と黒白雑婚とを経巡って)サトペン荘園まで連れ戻され、近親相姦は許しても黒白雑婚は許さない小サトペンがチャールズ・ボンを射殺する瞬間へどのようにして導かれたかを推理するために(あるいはしないために)騎行についていく、「最初は二人で、それから四人になったが、また二人になった」というように。  それは、キルケゴールが、アブラハムが息子イサクを生贄に捧げるために燔祭の場所へ驢馬を伴い行く旅に、「最初は二人で、それから三人になったが、また二人になった」というようについていく、しかも繰り返し時間を巻き戻して出発地点から旅をやり直す推理のスリルの如くだ。  このスリルの正体は、告白と伝聞の、その隠れていたものが顕れる効果が混血、変態した推理の、その「壁に写す影」である神託の、そのスリップする効果の究極の如何わしさである。  同じようにして、大コンプソンと小コンプソン(クェンティン)はサトペン家とコールドフィールド家に何が起こったのかを推理するために(あるいはしないために)「最初は二人で、それから四人になったが、また二人になった」というように質料化するのである。

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