Sunday, November 27, 2016

碧空897 究極のエラーから家路を辿る

897 究極のエラーから家路を辿る  Erosは混血の衝動、媒体であることが剥き出しになる。擬似摂理は復讐的、駆り立てるものによって滅ぼされるエラー。復讐の相続は、擬似摂理を相続する。それは、何か漠として埋め合わせようとする混血の衝動を相続するかにも見える。  トマス・サトペンが少年の頃にお仕着せの黒人奴隷に嘲弄されたこと、それが、呼び出しをくらって隠れなくなる効果を及ぼした、その羞恥を逆転するか何か漠として埋め合わせようとする(というより寧ろ、埋め合わせられるのだろうかと疑う)復讐は、サトペンの家系をつくろうとする混血の衝動と矛盾しない。ところが、黒い血がひっそり(しかし目を見ひらいて)流れ込んでいる母もろともにトマス・サトペンに棄てられた愚弄と羞明から隠れなくなったチャールズ・ボンがトマス・サトペンを隠れなくしようとする(というより寧ろ、埋め合わせられるのだろうかと疑う)復讐と混血の衝動は、tabula rasa に向かう。それが、トマス・サトペンの構想の「壁に写る影」なのである。  一方、ヘンリー・サトペンが逃亡の末にサトペン屋敷に舞い戻るのは「死ぬために」には違いないにしても、寧ろ「成就していない近親相姦によって滅ぼされるために」家路を辿るのである。チャールズ・ボンを射殺した兄殺しも「黒白雑婚を忌避するために」ではなく、「近親相姦の器官の延長を取り消すために」である。それは究極のエラーであるにしても、究極のエチカに迫る。(「Absalom,Absalom」)

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