碧空902 Christina in pink、Christina out of porcelain
902 Christina in pink、Christina out of porcelain
この世のものの「壁に写る影」はこの世ならぬもので、従ってこの世ならぬものとは、この世のものが占めるこの世ということになる。1=0.9・・・ とはすなわち、1は場所としての0.9・・・ を占める(1/0.9・・・ )ということである。1は、この世ならぬ0.9・・・ がこの世のものとなる、その具体の形式で、0.9・・・ は打ち消されて潜伏する疚しさの形式、何か喉元まで上り詰めて来ている、というような最終状態の気配である。
「白鳥」は乙女の「壁に写る影」の質料化、復讐的混血である乙女の究極の抽象である呪いや魔法が解けたのではなく、乙女の最終状態である無性生殖の、その系統発生的な窃視が質料化する(物語から生還する)タイム・スリップの衝撃の造形で、Christina(「The World of Christina」A.Wyeth)が異類のように腹這う後ろ姿であるのは、そうした(そこにいてそこにいない窃視の質料化としての)「白鳥」と「白鳥」が解けた(無性生殖の解としての)復讐的混血との二重性、すなわちChristina in pink なのである。何かが喉元まで上り詰めて来ているという気配と何か埋め合わせられるのだろうかと疑う気配との間に振動して、その後ろ姿は地下の焦燥か痛恨が地表に這い出して空気に触れたために衝撃的に、鬱然とピンクに染まる。
Christina はそこで何かをしているというよりは、何かが喉元まで上り詰めて来ているが何か埋め合わせられるのだろうかと疑っているのであり、潮風に吹き曝されてChristina がみるみる白骨化する、その吐息じみて洩れる白い気配が半開きのドアの白磁のノブに凝結したりするのも、Christina の「壁に写る影」のエコーである。


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