碧空907 自食の黙示的図解
907 自食の黙示的図解
ドン・ファンは「壁に写る影」に一つとして懲罰の印を見ないことはなく、その刻印(個の出現の明細)から逃走する。この逃走は、懲罰としての個というもののバランスの欠損に密かに魅惑されていることを見まいとして目隠しするのかのようであるが、強迫的にそこへ連れ戻されるように逃走するのである。
手塚治虫の場合、「見てはならない影」から逃走するどころか強迫的にそこへ、数々の奇形と隠沼のようなメタモルフォーゼと輪郭喪失(幽霊性)へ駆り立てられている。懲罰という夢想を疑わないことで懲罰というものが魅惑や救済に(まるで「誤って」)変貌してしまうというふうだ。
ドン・ファンや手塚治虫の性癖は、「LITTLE NURSE」やもう一体分の組織や器官を水頭症の頭部に孕んだ奇形嚢腫のように、自食の、無性生殖的Erosの遡上の黙示的図解である。


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