Thursday, December 22, 2016

碧空914 1が起こらない場所の気配

914 1が起こらない場所の気配  ユーラの受肉は隠喩のようにドンピシャに響いて来る。ユーラは、偶然の個の振りをする種の夢に誘惑されている苦悩であり、偶然の個であることが呪いや懲罰なのか恵なのか分からない。個虫が部分の振りをする受肉は魂を地獄(1が起こらない場所)に差し出すが、それはユーラに属するのではなく地獄に属するから地獄に返すのである。  ユーラは(1にならないでいるが1の振りをする)究極の母体であるが、どさ回りの旅芸人のように何処の馬の骨とも知れぬもの(に身を窶した種の夢)はすでにいつの間にかジェファソンのそこここに(まるで分身して窓から脱け出すように合唱して)いて、この性的白痴は息を吹きかけられたり、眼射しだけでも身籠る。そして、ユーラ・ヴァーナー・スノープスになるのであるが、スノープスはどの分身もそうであるように器官の延長に過ぎない。(「村」W.Faulkner)  この怪物ユーラは、ErosとVenus とPsycheが遠心分離して来るような神話的融合であり、Venus にかかるErosにPsycheがかかって洩れる限りでは、Erosそのものは半具体にまどろむ。何をしようかというような春愁の如く何か焦燥で、何か中間的、曖昧、両性具有的に他の誰かを要請しているが、憧憬、彷徨的で、漠として予期していた存在に思いがけなく面しても何をしたらいいのか分からない。しかもこの発見とは、その存在を所有する瞬間に喪失する次元スリップであって、存在と世界と意識と隠喩は同時(同語反復)なのである。この世のものであるユーラと神話的(種の夢としての)ユーラは解離し切らないでまどろむ。  この両棲的まどろみがのぞき穴に変ずるのは次元スリップの劇化であって、のぞき穴の向こうの恒常化ではなく、独占に面して独占のエラーに面してしまう狼狽から、転移発作的に辺りを見回し、振り返る。同時であるのに、Venus に先立つErosにPsycheが先立つというように遠心分離し、この世のものであるユーラと種の夢としてのユーラが解離し、この世のものを1にして零落する。すなわち、この世のものの影ではなく、「この世」の影(見てはならない影としての地獄)が気配を消すのである。

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