碧空930 火の泉、火の呼び声、放火癖
930 火の泉、火の呼び声、放火癖
家長スノープスは少年(息子)を騾馬に乗せて小さな旅に出る。アブラハムは隠れなさに狼狽して本能的に落下するのだが重力に麻酔がかかったみたいに旅を続けるかに見えるように、スノープスは跛を引いて小さな旅に出るというふうに見える。アブラハムが普遍的なものに誘惑されるようにスノープスは他の誰かを要請する正義に訴えるように誘惑されていて、それは自らは正しいという凶暴なまでの確信であって、受肉が義贖罪に零落することでも更には損害賠償にスリップすることでもなく、危機に面して本能的に火の元素に遡上するスノープス一族の霊的要請なのである。少年が父スノープスの命令に抗し難いのは、どうにも自棄っぱちな偶然の父の声が人知れずこの遡上の呼び声に拡大するからなのである。
危機に面してスノープスは、火に乗じて、四大が遠心分離しない世界の終わりに出る。火を通じて、スノープスというスノープスが零(ゼロ)に殺到するのである。しかしそれは、遠心分離した遠近法に於いては放火癖にしか見えない。


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