碧空937 息を洩らす暗黒に石を投げ入れてみたくなる
937 息を洩らす暗黒に石を投げ入れてみたくなる
生産装置にして分類装置であるジャンルの一つとしての「Western」の基調は、打ち消されたインディアンを埋め合わせる(あるいは取り憑かれた)西部開拓史を遠近法的ホログラムとする大気としての悲哀である。
前景と背景とに遠心分離した遠近法的ホログラムが一気に崩壊して世界を疑う瞬間に、Western はジャンルではなくトーテムになる。前新世界も新世界もこのトーテムの解であり、遠近法的にそう見えるホログラムであり、the river of no returnが帰らざる河であるのはそれが遡上であるからであり、その、遠近法が崩壊した無も同然の絶景に石を投げ入れると罰のように波紋が広がる、その悲哀が濃厚な眠気のように息を洩らすのは暗黒の全背景が新世界の振りをするのである。
そんなふうにMarilyn Monroeには(空家や洞窟におどむ闇に石を投げ入れてみたくなるように)石を投げ入れてみたくなる。昇り詰めるように落ちていく石の気配に息を潜める。


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