Friday, January 27, 2017

碧空938 遠近法の崩壊に面して

938 遠近法の崩壊に面して  戦慄や笑いといった痙攣は裂目を(奥行に面してホログラムに面してしまう遠近法の崩壊を)発作的に模写するのであるが、この裂目は場所を占めないためにこの世のものではなく、ぞっとするもの可笑しいものを遠近法の効果に於いて探し出そうとしても、それは、覆い隠せないホログラム(奥行の「壁に写る影」がホログラムであること)のたよりない目じるしにしかならない。痕跡などでは決してなく、消失点の崩壊を遠近法の焦点は拾わないのである。  同じようにして、大気のように一気に肺を膨らませ萎ませる悲哀が模写する(全背景が前景の振りをする)奥行の失効もこの世を占めるのではないのであるから、悲哀が形容するようなこの世のものを探し出そうとしても的外れというものであって、しかしまた逆に、悲哀を呼吸しないこの世のものはなく、図々しいほど手当たり次第わけもわからず悲哀に感染することにもなる。つまり、悲哀は、世界意識の隠喩で、世界と意識と隠喩が同語反復になるような次元スリップ、この世のものが悲哀を映し出す隠喩であったり、悲哀がこの世のものを映し出す場所であったりするのである。悲哀は単に気分なのではなく、打ち消されて場所となって潜伏する問(種の夢)が遠近法の効果で隠喩に見えるのである。消失点の崩壊(形を結ぶことの不思議)はそのように見える。

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