Friday, February 10, 2017

碧空947 エコーの変脱

947 エコーの変脱  Echoの神話は、輪郭を喪失した魑魅魍魎の深い溜息を、不随意な変装を、奇妙な寛容を(すなわち退屈を)模写している。エコーの深い溜息はナルキッソスの深い溜息に乗っ取られても乗っ取られたことにはならないし、深々と埋め合わせているようで猛威を振るってもいる。  おしゃべり(空話)は、退屈が有性生殖的な発話に発現した(あたかも発信と受信の分業があるかのような)回避としての症状である。深い溜息であり、空虚の分だけ深々とするが症状はふかふかである。  Echoの二つの相貌は、おしゃべり(発信と受信が解離する空話)と届かなさ(発信と受信が解離しない空話)である。エコーの神話では、この二相の空話は罪と罰を分担している。おしゃべりが過ぎたためにエコーの口からは発語しようとした言葉とは別の(他の誰かが発した)言葉だけが飛び出してしまうエラーになり、オマエハ誰ダと呼び出されても輪郭も本質も限定できない魑魅魍魎の身分に零落するのである。  エコーはこの零落に平気ではいられないが、平気でいられないのは(すなわち孤独は)既にして魑魅魍魎の変脱である。

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