Tuesday, April 11, 2017

碧空987 暗い内蔵の気配

987 暗い内蔵の気配  ミンク・スノープスを苦しめ脅かしていた「それやかれらに試されている」気配は、ミンクの身体を引きずり込もうとして隙を見ては引っ張る暗い(光を閉じ込めた)大地の気配となって、それが内臓のように剥き出しになるのは、光の現在が死の内蔵の気配だからである。  究極のリンチがミンクに及ぶのは擬死のエラー(自殺)としてではなく、発作的に(狼狽から頭を掻いたり、振り向いたり、煙草をやたらに吹かしたりするように)他殺に転移してであるが、この転移発作は(遠近法の効果から)38年かかるとでもいうように見える。発作のはずなのにまるでじっと耐えるかのようなのだ。しかも、それは耐えるために耐えるのであって、フレム・スノープスが貨幣を貯蔵するために貯蔵する習癖と懸け離れているが、しかも似ているのはどちらも発作じみているからである。  フレムに見捨てられたミンクが発射した弾丸が38年かけてフレムに届く。しかしそれは、マニアと区別のつかない擬似摂理が38年かけてフレムに及ぶのではなく、究極のリンチにSnopesが架けられるのである。しかも、それはミンクを道具として駆使するのであるから、スノープスの自滅が盗まれた火の誘惑のままに分業して演じられているのである。  この分業は、雌雄異体の気配が、双子のように余計なものの受肉として器官を延長した気配に変形しているが、あの、暗い内蔵の気配に引っ張られている。(「Snopes」W.Faulkner)

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