Sunday, May 14, 2017

碧空1009 「地獄ノ山」ノ草トナッテ生エル

1009 「地獄ノ山」ノ草トナッテ生エル  6歳の少女Ana (「ミツバチのささやき(The Spirit of the Beehive)」V.Elise)の場合、鏡に呑み込まれている一寸法師は、廃墟に潜むか訪れた誰かの大きな足跡や水たまりの底から浮かび上がるフランケンシュタインに(反転して)拡張し、大気になるまで拡張して行方知れずになって祟る。アナの深刻な受胎は、この反転・拡張を狼狽から転移発作的に埋め合わせるというように「魚服記」(太宰治)が伝える如く大蛇にではなく小鮒に反転・収縮する、その変態のあまり口がきけなくなってしまう。  漠とした不在から魂を抜かれたように帰って来たアナは、遠近法に包まれた現在に呼吸しているのではなく、場所との区別をおかされた瞬間移動である。一体、瞬間と場所の間が決壊した実体の揮発、仮面ではないかの如く肉薄する物自体(例えば、畳ノ目ニコボレタ針)は、「地獄ノ山」ノ草トナッテ生エル(泉鏡花)ようにして打ち消されていて祟るのである。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home