Tuesday, May 23, 2017

碧空1015 献身のズーム・アップ、献身のエコー 

1015 献身のズーム・アップ、献身のエコー  テンプル・ドレイク(「尼僧へのレクイエム」W.Faulkner)をもの凄い最短距離で襲う献身がズーム・アップした種の夢は、「雨樋を伝って駆け落ちする」光景である。それは、水仙に姿を変える戦慄的気配が献身を鎮めるように、雌雄異体の気配が雌雄同体の気配を鎮めている。  17歳のテンプルが誘拐され監禁されたとき雨樋を伝って逃走しなかったのは、テンプルが一目惚れしたレッドが雨樋を伝って忍んで来るのを密かに誘っていたからである。しかしそれは「雨樋を伝って駆け落ちする」光景も同然で、しかもそれは、レッドでなくてもよかった。雨樋を伝って侵入を試みたレッドが仲間に射殺されたずっとあとで、レッドの弟のピートが、レッドの影が受肉したようにあらわれて、駆け落ちしようとするからである。テンプルを魅惑しているのは、「雨樋を伝って駆け落ちする」種の夢の胸騒ぎのようなズーム・アップであって、目標と道の間の決壊である。レッドでもピートでも雨樋でもなく、究極の器官の延長として記憶を共にする献身のエコーなのである。  テンプル・ドレイクをもの凄い最短距離で襲う献身がズーム・アップした種の夢は、「雨樋を伝って駆け落ちする」光景である。それは、水仙に姿を変える戦慄的気配を献身が鎮めるように、雌雄異体の苦悶を雌雄同体の気配が鎮めている。

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