碧空1028 このヒステリア
1028 このヒステリア
個と種の間が解離しない決壊は実体の揮発にして、雌雄異体の気配と雌雄同体の気配の間が解離しない決壊は生殖の揮発である。憂愁は、世界こそが居場所を見失う。それは、実体と生殖の夢(世界)が濃厚な眠気のように覆いかけるとも沈み込むともつかないヒステリア(放浪する子宮)である。
この放浪は、同じ次元に閉じこもって漂うのではなく次元を越えて彷徨い出ていき、時間がかかるのではなく場所がかかるタイム・スリップで、時間を扱うかに見えて時間を扱えない瞬間移動である。物語のヒステリアであるタイム・スリップする話が時間を扱うかに見え、タイム・スリップするのに時間がかかってしまうのは、文法の時制が遠近法だからである。もの凄い最短距離の話、遠近法の崩壊の話であるはずなのに、前景と後景、全背景とが遠心分離して現在が爆発的に広がってしまうのである。
そこでは、生殖は精神の振りをする擬似精神であり、精神は生殖の振りをする擬似生殖であるが、生殖と精神の区別、それ以上に解としての世界と問としての世界の区別がおかされてしまう気配が、このヒステリアなのである。


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