Saturday, June 17, 2017

碧空1031 実体と生殖の夢も同然の、一つの顔

1031 実体と生殖の夢も同然の、一つの顔  ヨハンが人間をあざ笑う、というのであれば、それは「自由、孤独、思考」が代表する「私」というものを鎧った人間をあざ笑うのである。というのも、その見てはならない「壁に写る影」は、「狐憑き、類、生首」だからである。  ヨハンは遠近法のなかでは目撃されない。ヨハンが実在することの目撃者をヨハンは消去しないではいられないが、それは、そのヨハンはヨハンではないと呟いて回るというふうだ。ヨハンの実在は極端に私的なまぼろしも同然だとつぶやくのであるが、擬似ヨハンは擬死のエラーである自殺では消せない一つの顔で、太古の心も同然で、個を探して爆発的に現在が広がる生殖なのである。それは、冤罪なのにうむをいわせないしかたでリンチに架けられかけて浮かび上がるルーカス・ビーチャムの、そのグロテスクな一つの顔が、黒人の種族の全背景がルーカスの振りをして太古の塵も同然であるようなもので、生唾もののリンチの上演に視線が釘づけになるために一斉に(一つの生き物のように)集く町の同質な種族の面々の、そのどの顔も町中の面々を凝縮、代表した(すなわち)殺到した、その恐慌も同然の一つの顔のように個を探して爆発的に現在が広がる精神なのである。(「Monster」浦沢直樹、「塵となって侵入」W.Faulkner)

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