碧空1039 女装のJesus Christ
1039 女装のJesus Christ
ゴーストのかかったJesus Christを法則的、歴史的に把握し、釘づけに展翅することはできない。十字架に眠ったまま目を覚まさないJesus Christとは別に、十字架を脱け出してしまっているJesus Christの気配は変に光っていて、鬱然と覚醒している。
イエスに話して聞かせるヨハネのおぞましい記憶はイエスの記憶が抽象を解いて(しかも)ヨハネの生首を通してやって来て、擬似過去の、おぞましい景色を共にする。
雌雄異体の双子のどちらかを差し出すように迫られたときマリアは、雌雄どちらかを反母性的に選択したかに見えるが、実は選択したのはおぞましい世界の表情の覚醒なのである。持ち主のいない母体が持ち主のいない世界の表情を選択する(怪談も同然の)種の夢の暴発を、女装のJesus Christは劇化してスロー・モーションを羽織る。それは極端に緩慢なので、持ちこたえているというより揮発じみている。それは、種の夢の爆発的に広がる現在がなんと世界の終わりであるといった擬似脱皮の、いつまでも生まれ切らないヒステリア、その放浪のもう一つの解である。(碧空1038)


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