碧空1045 この眠気
1045 この眠気
運命が他の誰かに降りかかっているような懐疑の気配であるのは、経験と伝聞の間が決壊するからである。持ち主のいない記憶を共にする献身は究極の器官の延長で、本能から脱皮する振りをして遠心分離的に現在が広がる限りで、種の夢は個と種の配偶が揮発しないように疚しさとなって潜伏するが、しかしそれは究極の善であるから、個は(この世のものは)責めるような種の夢に(この世に)疼くように安らう零落なのである。つまり、零落の気配を消す。
零落の気配が消せないのは、持ち主のいない種の夢が剥き出しになって(奇妙にも)究極の善が薄気味悪く迫るのである。善悪の間が決壊するのである。しかし、その善悪の配偶の揮発こそは善悪の裂目なのである。
この世のものは零落の気配を消し、善悪は曖昧に遠心分離して、その区別は恣意的に見える。従って不正義の症状は、善悪を未だ選ばないからではなく、零落の気配を消す寿命のような擬似奥行か、零落の気配が消せない落下かが未だ選ばれないために、眠気が憂愁や焦燥や前触れのように包むのである。
この眠気は、孤独や沈黙とは違う。持ち主のいない心を共にする献身の、経験と伝聞の配偶が揮発して擬似過去の気配が消せない既視感や寂漠となって話し出せないのである。


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