碧空1056 ブラックホールが祟る
1056 ブラックホールが祟る
予言の成就は現在が縮み上がるような擬似過去を脱け出す振りをするということであるが、アインシュタインの予言の成就も、あの、時間を閉じ込めた(爆発的に広がる光が脱け出せない)ブラックホールじみた「相対性」から脱皮する振りをして、知らぬ間に、言葉が光あるいは光速に先立ってしまう。
物体の移動が光速に達すると物体と光の区別はおかされ、行方知れずになった物体は「相対性」に入って祟る。他の誰かとなって話し始めるのであるが、この光はブラックホールを脱け出せない。それは、ブラックホールが脱け出せない光なのではない。ブラックホールが祟るのは、光が写し出すブラックホールが光をこの世のものにして(しかも)この世になる、そのようにして行方知れずになる二重の擬似脱皮である。
「誰もいない部屋を呑み込んだ」鏡が薄気味悪く迫るとすれば、それは遠近法が崩壊して、具体としての鏡が「誰もいない部屋」を占めるように現在が広がるのではなく、半具体としての鏡に「誰もいない部屋」が閉じ込められているかのように目を見ひらいて、現在が縮み上がるのである。


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