碧空1058 跳躍と連続性の間2
1058 跳躍と連続性の間2
「誰もいない部屋を呑み込んだ」鏡が薄気味悪く迫るように、路傍で金貨や鞄を拾ったり街角の破れかけたポスターに呼び止められることが何か奇妙で戦慄的、あるいは笑ってしまうとすれば、それは、金貨や鞄やポスターが他の誰かとなって話し始め、「誰もいない部屋」が跳躍するのである。漠として空虚であるが、末端が全背景を閉じ込めているように密度は極まっている。
始まったことの取り返しのつかなさは得体の知れない遺失物の拾得のようなもので、何もしていないのにいきなり被追跡状態に呼び出される跳躍の気分は疚しさのようでも焦燥のようでもある。誰かがいるはずだというだけで責められるというふうだ。どうしていきなり「私」なのか。この疚しさの正体は、「誰もいない部屋」が祟るのであるが、どこからともなく連続性と感じられる。


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