Sunday, August 06, 2017

碧空1064 蜃気楼のような母体、底知れぬ潜伏

1064 蜃気楼のような母体、底知れぬ潜伏  秘剣を相伝する瞬間に始祖が弟子となって滅びるように(しかし滅びるのではなく)、長靴を穿いた猫は鼠に化けた魔法使いを平らげてしまう瞬間に魔法使いと入れ替わってしまう(つまり、魔法を相伝する)弟子である。  これは、種が個となって経過し、擬似過去が義務となって経過する現在というものの、擬似脱皮の文体で、擬似脱皮を追跡して螺旋を描く。現在が爆発的に遠心分離して広がる目的は現在に成ること、という奇妙な命令である。  成ルガママニは「平家物語」では是非モナイとなってエコーする。合戦は雌雄異体の気配の特異点で、トロイ戦役やオデッセイアーの復讐に甲冑を鎧った戦闘少女アテナがかかるように雌雄同体に連れ戻される如くに脱け出せないのであるが、悶々とした現在の展開は義務となって経過する。それは、実体や配偶が揮発しないように異性を発見する義務であって、アテナを頭に孕んでいたゼウスがアテナとなって食い破って出る生殖のような、驚きや懐疑の(想起と区別のつかないunlearn の)、この世のものになるための葛藤なのである。  生殖の最終状態はこの世である。しかしそれは、この世の発見なのではない。この世は発見が頓挫するような、しかしこの世のものの目的なのである。  ALIEN の度肝を抜く瞬発力、その瞬間移動じみた跳躍、現在の広がりに匹敵する爆発的な生殖、蜃気楼のような母体、おぞましい耐性、底知れぬ潜伏、それはALIEN の能力というよりはこの世のものになるための葛藤そのもの、擬似脱皮の隠喩(あるいは質料化)であるが、異性を発見する義務は宿主を探す寄生のための獰猛な奮闘に変形してエコーしている。

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