碧空1065 エネルギーの覚醒、エネルギーの転移
1065 エネルギーの覚醒、エネルギーの転移
義務を掴み取る衝動は獲物に掴みかかるようなもので、他の誰かとなって想起する献身の、その、持ち主のいない記憶のように憤る如く噴出するのであるが、宝物や異性といった幸を発見する義務ではなく、犯人のような禍根へ遡ろうとするエネルギーは何なのか。
神話は産出の源を尋ね、ミステリは殺害の源を尋ねる。ゼウスは奇形嚢腫の水頭からアテナとなって生まれるが、その戦闘少女振りは人面蛇体となってペニス状の妊娠状態を想起する献身なのである。オイディプスが父を脅かす悪い予言のために流されるのは(アテナが、酷似した予言の成就を回避しようと図るゼウスに呑み込まれるのと同じく)王の水頭に入って祟るようなもので、オイディプスを襲うエネルギーの覚醒は、知り過ぎている。オイディプスは(跳躍と連続性の間が解離した遠近法の効果からは)悪疫のために国土に累々と積み重なる死体の、その原因を尋ね、ところが思いがけない出自を突きつけられて王オイディプスこそは元凶であることを知って狼狽するかに見えるが、しかしこの暴露は他の誰かの声帯を通した告白であって、知り過ぎている暗闇があればこそ思いがけないのである。むしろ、猖獗を極める疫病の原因の捜査に乗り出すのに先立って知り過ぎているエネルギーの覚醒があればこそ狼狽して、頭を掻くように転移発作的に犯人探しを始めるのである。
オイディプスを襲うエネルギーの覚醒(個と種の間が解離しない決壊)が、犯人を探す者の「壁に写る影」が犯人の影であることを密告しているのに(狼狽の効果から)目を瞑って何事もなかったかのように犯人探しが義務となって経過する、そのエネルギーの転移(個と種の間の解離)が狼狽の再発となって祟り返すのである。
同じようにして、ヒトの姿をして覚醒する疫病の蔓延、猛威は、ベーコン卿の偶然の、孤立した夢想なのではない。


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