碧空1069 擬似脱皮の片隅
1069 擬似脱皮の片隅
全背景が出現しないように足掻く片隅は、監視と献身の間に振動して、ニューオーリンズとミシガンの間を驀進する機関車となってOLD MAN(ミシシッピ河流域 )が覚醒する、その、この世ならぬものの忽然とした出現(apparition-like suddenness)が、片隅を片隅でなくする。
そんなふうに、フォールズ老人(の、根拠薄弱にしてヨクナパトーファのように寄辺ない登場)は、身につけた胸当てつきのズボンの清潔だが埃っぽい匂いのようにジョン・サートリスを老ベイヤードの銀行の小部屋(の、根拠薄弱にしてヨクナパトーファのように寄辺ない片隅)に連れ込んでいて、しかしその匂いが小部屋を小部屋ではなくし、ジョン・サートリスを死者以上の存在(SARTORIS )にする。
この片隅のズーム・アップは、原罪じみた全背景の、土埃の或いは流域の(爆発的に或いは洪水のように広がる現在の)気配の収縮的な細部の跳躍で、競争自動車を飛ばさないではいられない若ベイヤードの献身(SARTORISの覚醒)のように、犯人の彷徨と犯人探しに転移した擬似脱皮、擬似過去の片隅なのである。(碧空1068)


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