碧空1080 擬似覚醒
1080 擬似覚醒
それは、若ベイヤードが双子の片割れの操縦する飛行機が落下していくのに追いつこうとして自動車となって暴走するのを眺めているようなもので、その長目の効果は遠くして近いだけでなく、規則正しい習慣を鎧うように自動車を甲冑の如く鎧った擬似戦闘少女ナーシッサが、肋骨を折って臥せっている若ベイヤードに本を読んで聞かせてただもう眠気を誘っているはずなのに、雌雄異体の気配が(現在の広がりが)揮発してマルデ、次ニ何ヲシタライイノカ、誰カガ教エテクレルノヲ待ッテイル、というような被催眠術状態なのである。眠れる臥ベイヤードを覗き込んでいるうちに、そのスフィンクスのような造形、彫刻が消えてなくなる。
このようにして、ナーシッサとなってナルキッソスは想起する。種の夢を覗き込むように異性を覗き込むが、次ニ何ヲシタライイノカ分からないのは、種の夢を映し出しているはずの異性が、潜伏した種の夢に(水鏡に、であるかのように)映し出されていて、その半媒体性が、渡りの衝動の季節になれば渡りというものがどういうものか今ニ分カル、というような蜃気楼なのである。
憂愁は、合図が出たときに(初めてなのに)それが合図だと分かるはずだ、というような漠とした(眠気のような)覚醒、覚醒ではないが予期を孕んだ蜃気楼なのである。(碧空1079)


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