碧空1098 MOON WALK16(Faustの憂愁)
1098 MOON WALK16(Faustの憂愁)
Faust が魂と引き替えに、何か不正であることの、その不一致(罪も同然の状態)を脱皮しようとすることはレーテの河を渡ることを想起しようとする。他の誰かとなって想起する献身を思考しようとするのである。これは、思考の献身性に迫る思考の危機である。というのも、この思考の冒険は、自由、孤独、思考が代表する魂で贖う捨て身だからである。この思考の身代わりは魂を売ることに見える。
約束通り「姥ヶ池」の姫の枕辺に夜な夜な通って来る池の主との密通も、運命の異性を探し出すことの魂の危機に迫るのだとしても、レーテ渡河の冒険を思考しようとするのではなく、Faust の憂愁が蔽いかけるのではない。
Faust の思考は、OLD BEN (「The Bear」W.Faulkner)の足跡が途切れ世界が見失われたかと思うと虚空から鋳造されるようにして次の足跡が出現するとも初めからあったともつかない危機である。思考が世界の断崖まで来ると見失われる寸前で思考の足跡がもう一歩だけ踏み出されていて、しかしそれは世界の延長なのではなく、甲羅を経た意味深さ、次元跳躍がdimensionless と感じられるのである。


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