碧空1105 MOON WALK23(肖像の憤怒、肖像に冠せられた「老」が顔を赤らめる)
1105 MOON WALK23(肖像の憤怒、肖像に冠せられた「老」が顔を赤らめる)
IT WAS THERE は、OLD BEN とBIG BOTTOM (大低地)との区別がおかされて解離しない覚醒、すなわちapparition-like suddennessが、この世のものがこの世を占めるように地上に零落する遠近法の効果から「それはそこにいた」というふうに見えるのであるが、「それはそこだった」というような呼び声なのである。「そこ」はこの世のものとしてのBIG BOTTOMではなく、OLD BEN の最終状態としての呼び声である。少年がOLD BEN を通して知覚し、OLD BEN が少年を通して蔽いかける瞑想のように思考するのは、この、打ち震える種の夢の次元振動である。
同じようにして、老ルーカスと老モリーが誰よりも生き延びて鉄板写真のような最終状態になることは、その肖像の構造が、ミシシッピ河(OLD MAN )流域に沖積するBIG BOTTOMを全背景に、OLD BEN を前景にして全背景が個虫(部分)の振りをする、そうした種の夢の隠喩としての荒野が襲う憤怒なのである。
一方、半具体としての肖像ならば、老ルーカスや老モリーの器官の延長として言葉や貨幣のようにさらにもう一歩先に生き延びることになるが、その移動は、他の誰かとなって若返る次元跳躍ではなく、法則的、歴史的になって地上に踏み留まるための遠近法である。それが、人知れず顔を赤らめる肖像に冠せられた「老」の含蓄である。


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