Saturday, October 21, 2017

碧空1115 MOON WALK33(魂の座礁の症状、その時制)

1115 MOON WALK33(魂の座礁の症状、その時制)  野性は、遠近法の効果からは、平均化の衝動に見える。  Faust の時代には、OLD BEN に対位する野性は疫病である。ベーコン卿によれば、それはヒトの姿をして蔓延するのであり、誰と入れ替わったのか分からない復活のように国境も階級も踏み越え、誰もが隠れなくなる。  魂の持ち主が誰であるか分からなくなる、この献身の超絶秘密の猖獗を共にしようとするかのように、Faust 博士の父は赤色酸化水銀(赤獅子)と白色塩酸(白百合)とを婚姻させて得た地獄の妙薬すなわち塩化水銀を、感染した身体に盛らずにはいられない。  悪疫が猖獗を極めて持ち主が誰であるか分からなくなった国土は、レーテの河を渡ることが極端に私的であるために経験したことにならない、といった経験の頓挫であり、こうした座礁がオイディプス王の日常性に潜伏する疚しさであるが、この、他の誰かとなって想起する献身の超絶秘密が一つには悪疫となって猛威を振るい、一つには他の誰かの声帯を通して(人面瘡が)自白する。この座礁は憤怒の如く懴悔の如く、冤罪と贖罪の区別がおかされている。  持ち主は誰なのかという問も、犯人は誰なのかという問も、追跡や陰謀の気配も、魂の持ち主が誰なのか分からない魂の座礁の症状のようなものである。  セント・アンドレアスの夜に未来の恋人を水晶玉に覗き込むことも、運命の持ち主が誰なのか分からない魂の座礁であるが、Faust が魂を手放すのは水晶玉を覗き込むようなもので、水晶玉を覗き込むFaust が見えるのである。何か一貫して不易であるはずの魂が、代表することが魂になることであるように自ら自らの祖先になって座礁する献身の、その種の夢の時制は遠心分離しない擬似過去なのである。

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