碧空1123 MOON WALK41(11月の意識)
1123 MOON WALK41(11月の意識)
老い果ててアイザック・マッキャスリンが訪れた11月のBIG BOTTOM(「Delta Autumn」W.Faulkner)は、海底や太古が壁のような姿を表わす底りではなく、打ち寄せるしき波の無量の没交渉の気配というのでもなく、OLD BEN が出そうな大低地ではなく、何か喉元まで上り詰めて来るのに解明されない焦燥が眠気のような憂愁となって覆いかけるというのでもなく、その、瞑想するようにのぞき降ろす気配は写実じみ、どの瞬く間も遠近法に包まれて反省であり、告解する如くであり、しかし他の誰かの声帯を通して告白するのであってしかも手元に免罪符が届けられている、といったふうで、駆り立てる責めの気配(本能としての心)が、何かまるで違う懴悔のような意識(心)に振れているのである。
この、こころの擬似脱皮は、場所との区別がおかされまいとして、告解とは、魂の本当の持ち主が誰なのか分からないことに耐えられないのである。主語、目的語、場所が解離した遠近法に包まれている老体の本当の持ち主が「私」であることが(何も変わっていないのに)気休めになる。この免罪符を老体の顔面に張りつけるように、殆ど皮膚が白いだけでなくマッキャスリンの血の流れ込んだ、そして更にその血がどこかを彷徨うことになる赤ん坊を抱いた黒い女体が、BIG BOTTOMの不覚の底から蔽い隠せないというように殆ど白く擬似脱皮した毒茸の如く胞子を撒き散らして生え出て来たのである。


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