碧空1129 MOON WALK47(瞬間移動の怪談)
1129 MOON WALK47(瞬間移動の怪談)
「八月の光」(W.Faulkner)のなかを歩く哺乳類の気配、扇と小さな包みと身ごもった大きな腹を抱えて歩く女体は、殆ど白い(しかし)黒い女体には見えないが、殆ど1(しかし)いつまでも1にならない。この擬似脱皮がいつの間にか、距離を怪談にしてしまう。
なんて遠くへ来たんだろうと驚くのは静かで、穏やかで、頑固に歩く「私」ではなく、「私」に打ち消されて人面瘡になった魂が不覚にも瞬間移動を告白するのである。だからこの献身は、一体これは「私」なのだろうか、といった懐疑で(他の誰かとなって話す限りで)まるで懴悔なのである。
このように、J.J.Rousseauの「告白」も瞬間移動の怪談である。剥き出しになった献身の驚きと懐疑が、追跡や陰謀の気配に変装、包囲して何か一貫して不易であるはずの「私」を責めて、脅かすのである。


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