碧空1178 MOON WALK96(怪談じみる不在)
1178 MOON WALK96(怪談じみる不在)
一体、絶景を背景にして記念写真を撮るのは、満開の桜の木下道を不在を回避しようとして何度たもとおり返しても不在に突き進んでしまうか、あるいはこの世ならぬ浄土を見失うように、いつの間にか移ろう日常の不在を回避しようとして至るところ日常を背景にした写真がいつの間にか移ろう日常のふしぎな不在を劇化してしまう履歴と、まるで変わらない。
時間の極端な拡大、静止画像は(分節がそうであるように)それが真実の瞬間の凍結保存であると誤る危険を冒している。しかしそれは、単に劇化に過ぎなく、それを真実の瞬間とするのは単に懐疑することの断念である。
この懐疑の断念を積み重ねても、殆ど瞬間(しかし)いつまでも瞬間にはならない。いつの間にか移ろう日常の不思議は、それがいつの間にか劇化されるからではなく、いつの間にか瞬間を放棄して「これは本当にワーテルローの戦いなのだろうか」というように怪談じみるのである。


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