碧空1253 MOON WALK171(色違いの擬似復活)
1253 MOON WALK171(色違いの擬似復活)
或る陰謀、他の誰かの身体を致命的に侵す末期癌を免疫抑制剤を投与された別の身体に移植したのち免疫抑制剤の投与を停止すると、俄然その見知らぬ癌が異物として猛烈な攻撃を受けて嘘のように消失する。癌の本当の持ち主を二人一役で展開することになる双子のトリックである。
これは、秘密結社から次々と送り込まれる刺客を躱すための偽装死、返り討ちにした刺客の死体を逃亡者の死体に見せかける偽装死の、その、二人一役の双子のトリックの葛藤が解かれる擬似復活というような展開とは、何か違うかに見える。双子のトリックの解明が、死体の本当の持ち主が他の誰かであることの発覚ではなく、死(も同然の末期癌)の本当の持ち主が別にいることの発覚だからである。
しかし、末期癌は刺客の武器(器官の延長)のようなもので刺客が送り込まれたも同然で、しかもこの、なくもがなの(すなわち、ユーモアとしての)末期癌の移植と完全寛解の陰謀は、なくもがなの(すなわち、ユーモアとしての)試煉も同然のテロリズムであって、色違いの擬似復活なのである。


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