Wednesday, June 06, 2018

碧空1267 MOON WALK185(ジュリアンの失踪)

1267 MOON WALK185(ジュリアンの失踪)  修道院まであと僅か4マイルのところまで来てジュリアン・クルースは失踪する。途中まで護衛したものたちの証言やウィンチェスターの銀細工師の女房の目撃証言や諸々の状況から、死体になっているはずなのに殺し屋と思い込まれ、尼僧になっているはずなのに実は男性と唖の振りをした修道士に履歴改竄していて、この二重の双子のトリックが解明されないために行方知れないのである。  大気は十字軍の時代の宗教の臭気であるが、ゴシックの気配は零度である。とっくに死んでいるも同然なのに死んでいないゴッドフリッド・メアスコットは、腹心の部下だったニコラス・ハーニッジをライの荘園に遣わして、ジュリアンと、ジュリアンが6歳のとき十字軍の遠征前に交わした婚約の破棄をクルース家に告げるのであるが、それはまるで、戦闘で重傷を負った傷痍体で修道士になったゴッドフリッドがニコラスとなって分身して告知するかのようで、10年後のジュリアンをニコラスが見初めてしまうことは復活(「An Excellent Mystery」E.Peters)のスリルであるし、ジュリアンの失踪と修道院を通した履歴改竄は断崖から身を躍らせてゴッドフリッドのもとへタイム・スリップするようなスリルであるが、雷鳴や稲妻やゴッドフリッドの溺死の衝撃が合図でもあるかのように双子と献身のトリックに光が訪れて、ジュリアンが擬似復活することでスリルも雷雨のように上がって単なる認知に零落してしまうのである。

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