Monday, July 02, 2018

碧空1284 MOON WALK202(自由とは何かまるで違う光)

1284 MOON WALK202(自由とは何かまるで違う光)  殺されたレナルド・ボサードの忠実な従者リュック・メヴェレルの失踪は、事件直後の闇中ということもあって悪いうわさや中傷から殺人者の逃亡と癒着してしまうが、ニューベリーの近くの二本の道が合流する地点で癒着を解いて二人は出会うことになる。すなわち、シャムの双子のように、逃亡者キアランと、全行程を裸足で踏破する苦行の巡礼者に見えるキアランと、キアランから影法師のように分身して寄り添うかに見えるリュックと、キアランの巡礼と逃亡がどうなるかを見極めるために片時も離れずに監視するリュックとが、重なり合うのである。  それはまるで、追い詰められて動けなくなってはいるもののなおも隙をうかがう鼠が次にどう出るか猫が凝っと見守る図、というふうであるが、しかもシャムの双子のように癒着しているのは、同じ忠誠を媒質として呼吸し、同じ大気ではあるが異なる重力場からはぐれてしまって、二人ながら道を見失って北極星や奇蹟を探しているからなのである。  この、マシューと名乗るリュック・メヴェレルの執拗な監視と追跡もまた苦行も同然の巡礼であるのは、何か(嫉妬からか)つきまとわれていて自由ではないからである。巡礼は、待ち伏せているはずの奇蹟のために輪郭を喪失して、透明になるまでに気を練るのである。  リュックが道標のように道の合流地点でキアランを待ち伏せていたように、リュックを待ち伏せていた奇蹟は雌雄異体の気配が触知されるまでに女体を結ぶことである。「私」に属するはずの夢のような女体の、その、打ち寄せる海のように無関心な出現、見初めるということは、自由とは何かまるで違う光なのに、その光が自由も同然なのはどうしたことだろう!(「The Pilgrim of Hate」E.Peters)

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