碧空1291 MOON WALK209(運命の中間性)
1291 MOON WALK209(運命の中間性)
その祈祷書には、綴じのなかに一カ所秘密の折り込みがあり、薄手の小さな羊皮紙が隠せるようになっていて、女帝モードはウォリングフォードのブライアン・フィッツカウント宛に手紙を封じてルノー・ブールシエに託したが、盗賊に襲撃されでもしたかのように馬を残してルノー・ブールシエは失踪し、カスレッドと名乗る隠者に身を窶してアイトンの森に姿を現わす。(「The Hermit of Eyton Forest」E.Peters)
こうして逃亡するルノー・ブールシエが卑劣にも祈祷書にひそめた手紙を盗ったのは、単に欲望からのように見えるが、そうしたもっともらしい動機からではなく、一通の手紙が何かまるで自分のもののようなのに変に静かでそうではないかのように驚く嫉妬発作からである。
羊皮紙と引き裂かれたようにルノー・ブールシエは癒着していて、このシャムの双子は運命のやり直しを請求しているが、そのもう一つの解は、記憶媒体としての運命の中間性の隠喩でさえある。というのも、決して悔い改めからではなく釣り合おうとするもう一つの解とは、偽司祭として立ち会う婚姻を、結ぶと同時に取り消してしまうように機能して、手紙を届ける使者であることを取り消した瞬間に失踪することになった中間性を悔い改めからではなくやり直すことであるし、まるで偽司祭として機能する「ために」失踪したも同然だからである。運命の中間性は、去ると同時に留まることである。
エレア学派の、あの突破できない中間や場所は、出し抜けない運命が(あるはずの擬似過去が)客観に転写された変装である。後れて来る今と「私」も、去ると同時に留まる。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home