碧空1361 MOON WALK279(神カラカ飽カヌカモ!)
1361 MOON WALK279(神カラカ飽カヌカモ!)
那智の滝の魅惑は、那智の滝の恒常的な属性ではなく、打ち寄せる敷浪のように見つけたのは私なのに私を探しているようではない、といった不思議な悲哀や何か届かない思い、飽かぬ嫉妬が(裂目のように)見ひらくのであり、それは、熊野なる那智の滝の魅惑とも何か違う。
具体の水準での熊野と那智の滝の関係が光るとすれば、それは、那智の滝の場所となって潜伏したモノは熊野ではなく、那智の滝を覆うのは熊野ではなく場所の振りをするモノであって、打ち寄せる敷浪のように、暴らさまになると同時に秘密になる、その光が青い星と打ち寄せる敷浪の関係に転移するようなものである。
この光に面しては、後れて来る主体は麻痺する。モノが場所となって潜伏しないでおどむ、その忽光に面しての模写発作、すなわち惚恍である。それは、天女が舞い降りた浜の砂を掘って窃かにのぞき見ているような、後れて来る主体の麻痺で、見初めた異性と異性が隠沼のように棲む土地の久方の関係はまたそのようにして光るのである。
悠久ということに、あるいは世界の片隅に深く感じ入るのは、若い「私」の遍在する窃視の特権である。若さは思うほどには若くはなく、ずっと年をとっていて(打ち寄せる敷浪のように)暴らさまになると同時に秘密になる。


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