Saturday, March 23, 2019

碧空1458 MOON WALK376(完全犯罪の表現)

1458 MOON WALK376(完全犯罪の表現)  慈念が、慈海の破戒が子孫(慈念)の奇形となって祟る履歴を慈海抹殺の犯罪ごと闇に葬るのは、単に慈念の才槌頭が受胎した出生の疑念を水底に沈めるだけでなく、慈海がもう一体になるまで器官を延長したことになる慈念もまるごと葬られて何事もなかったことになるのである。(「雁の寺」水上勉)  それは、真偽の区別を規定する雌雄異体の気配を擬似半陰陽の気配にしようとするのであるが、本物になろうとして伸び切っている贋物が俄然贋物に連れ戻されることでも、今が過去形で出現する電撃でもある。  贋物は魅(ばか)すが、光るならうわさのように本物になって本当の持ち主が接近したのである。それは、盗マレテイル!というようなのに疾しく、何かエラーじみている。本当の持ち主は後れて来る主体ではない。慈念を受胎告知のように襲う疑念は、その才槌頭が身ごもる人面瘡の(密告するように白状する)腹話がうわさのように振る舞うのである。それは、後れて来る主体が本当の持ち主にならずに保留して(すなわち)世界の終わりが引き伸ばされて歴史的であるというのではなく、本当の持ち主が接近して世界の終わりが途中までしかやって来ないのである。  しかしそれは、世界ガ終ワッテイル!という奇怪な(突如何もかも贋物じみる)疑念であるから、うわさのように神速にして、しかも伝達されない。慈海の失踪は、そうした完全犯罪の表現と激情なのである。

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