Monday, April 29, 2019

碧空1482 MOON WALK400(金閣寺の失踪、金閣寺の覚醒)

1482 MOON WALK400(金閣寺の失踪、金閣寺の覚醒)  金閣寺が灰になったことは、世界の終わりが引き伸ばされ、本当の持ち主が接近すると光り出す金閣寺は行方を晦まして近似値に留まるのであるが、この、本当の金閣寺の保留、行方不明は、若僧養賢がのぞき込む丑待ちの鏡に忽然とぞっとするように姿を現わす金閣寺の失踪とは、何かまるで違うのである。  若僧養賢が金閣寺に抱き竦められるのは、小さく小さく(まるで、ズーム・アップするように)縮むのは、世界の終わりが引き伸ばされない金縛り状態で、発語も行脚の旅愁も(空腹も)どもるのである。  しかし金閣炎上は、金閣寺の本当の持ち主が接近して光り出すのではなく、金閣寺が若僧ののぞき込む丑待ちの鏡に映し出されるような失踪(fugue )から覚醒し、擬態としての現実を鎧う金閣寺の影となって潜伏する(すなわち)後れて来る主体が秘密に歌うような放火計画の実行(metamorphosis )は、どもりが端唄や経文や外国語はどもらないように、どもらないのである。  まるで負い目があるかのように何かの不断の追跡に抱き竦められているために丑待ちの鏡はどもるのであるが、道成寺のように若僧が大蛇の追跡に抱き竦められて灰になるのも、金閣寺に抱き竦められた若僧が追い詰められて金閣寺を灰にするのも、まるで負い目があるかのように不断に拉致されている業というものの変装と変奏であるだけでなく、それは、引き伸ばされた世界の終わりの、その媒質(遠近法)を通してはそう見えるのである。

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