Thursday, May 02, 2019

碧空1484 MOON WALK402(微妙な転位)

1484 MOON WALK402(微妙な転位)  他の誰かを欺くのみならず自らをも騙す病的虚言症は、それが虚言だとは知らない。擬態が擬態であることを知らない、その、問と解の解離は発語にも転位するが、解を個別化すると同時に一般化する解離をそれと知らず使いこなせなくなる失語と、解が極端に一般化されると同時に極端に個別化されて訂正不能になる妄想との間に、病的虚言症は出現する。それは、失語のように過度に厳格ではないし、周りの女性がみんなリンダ!になる妄想のように過度に寛大でもないが、言葉は「メヂウム」として微妙にはたらかない。  しかし、ばれてもばれたことにはならないから恬として疚しいところもなく逡巡もなく舌のなめらかな(まるで、伝達されないために伝達するような)病的虚言、奇矯な発明の着想は、世界の終わりを引き伸ばす。その、鶏冠を立て孔雀のように翅を広げる見栄や虚栄の度外れな拡張、歌うような誇張は、雌雄異体の気配、臭気の奇妙な亢進なのである。  自殺は擬死のエラーであるが、平沢貞通(昭和23年帝銀事件)の芝居がかった自殺の試みは防衛機制であって、自ら「メヂウム」となって擬死がエラーにならないように、発作的に死んだ振りをするのではなく発作的に死ぬ振りをしてエラーを回避する、そうした発作の微妙な転位である。それは、世界が終わる振りをして世界の終わりを引き伸ばす心中のような微妙な転位である。

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