碧空1501 phantom circuit 9(体外受胎、受胎の転位、腹話術)
1501 phantom circuit 9(体外受胎、受胎の転位、腹話術)
天使が魅(さ)すように一つ目と前歯の欠けたせむしの生き物を体外に受胎する、その異様は、聾のカジモドがエスメラルダと話す、その声にも感染する。身体の奇形がこれでもかというように猖獗するカジモドは、身分の逸脱のこれでもかというような魔女性が猛威を振るうエスメラルダの遊離した人面瘡で、それがおぞましくもしゃべり出すのである。それはエスメラルダのヒステリア(放浪する子宮)で、何よりも卑しめられ拉致され下降したエスメラルダが大聖堂の高みに拉致され上昇する、その錬金術的受胎が、大聖堂が身ごもったように転位した腹話術なのである。
こうした体外受胎と、受胎の転位と、腹話術は、二人マリアの最終腹話である復活の告白の構造である。カジモドの奇形を見て妊娠してしまわないようにパリの女たちは顔を背け、目を瞑る。カジモドのそうした呪力は、カジモドと大聖堂の区別をおかすエスメラルダの受胎能力の転位と反転である。大聖堂がカジモドを通して告白するように、もう一人のマリアを通して復活を告白する。身体と身分の二重に逸脱した擬似半陰陽の気配が身ごもったように世界の終わりを告知し、誰と入れ替わったのか分からない過冷却状態の世界の終わりに被曝するのである。
こうして、通り魔が魅(さ)すように拉致され、天使が魅(さ)すように受胎する「Notre-Dame de Paris」(V.Hugo )は、気味悪い聖史劇のような薄気味悪い相貌をのぞかせるのである。


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