碧空1526 phantom circuit34(マリユスののぞき穴)
1526 phantom circuit34(マリユスののぞき穴)
責めとしての種の夢が責め苦としての種の夢に次元跳躍するunlearn とは、敷浪打ち寄せる浜辺に出ることのように、それは、この世のものとなって種の夢をとり戻すことであるが(従って)上り詰めて来ていた種の夢を失うことと区別がつかない。漠として予期していたものを後れて来る主体が記憶を吐き戻すように失うも同然なのである。
こうした想起の奇形、現在の広がりの奇形が世界の終わりであり、既視感であり、雌雄異体の気配の奇形が「舌を出した般若」であり、佝僂の瘤や癩の崩れた顔といった責め苦としての奇形は嫉妬を映し出した暗喩である。
隔絶したゴルボー屋敷の最内奥の屋根裏部屋を隣の屋根裏部屋からマリユスがのぞく、そののぞき穴の向こうの、トリックじみた履歴改竄の展開と齟齬した要請(の複合)の症状とがマリユスを襲って、狼狽からマリユスは擬死発作を起こしそうになる。神託のように翻弄的で魔法のように思いがけなく人面瘡のように制御不能であるのに、いつかこうなる気がしていたと囁く誰かがいるのである。マリユスは後れて来る主体というより、のぞき穴の向こうに二重人格的に解離した運命の展開と症状に大きく後れをとっていて、まるで運命が強奪されているかのようなのである。のぞき穴の向こうに不覚にも失われる分だけ秘密が胃袋に押し込まれて、その分だけ不覚にも舌が飛び出してしまうはずだ。
のぞき穴の向こうで起こったことは、初恋の人に会いたい一心から行方を探していたU.F.(実は16歳になったコゼットにして、U.F.は世を忍ぶジャン・ヴァルジャンの仮の名)と、父ポンメルシーがワーテルローで救出された経緯を遺言したことから行方を探していた人(実に隣人にして、実は8歳になるまでコゼットを虐げていたテナルディエ)の出現と、その正体の発覚、その位格(ペルソナ)の逆転、行方知れずになった蜥蜴の尻尾は茶釜に入って祟る、ということである。
つまり、のぞき穴の向こうは、本質ではないが本質の振りをして解離するものが祟る穴蔵、あるいはのぞき穴は「丑待ちの鏡」なのである。


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