碧空1537 phantom circuit45(思いがけない鏡像、思いがけない仮面)
1537 phantom circuit45(思いがけない鏡像、思いがけない仮面)
コゼットの手紙の文字が吸い取り紙に転写され、さらにそれが鏡に転写されて恋するコゼットが幽霊のように浮かび上がったのは、無意識に導かれた痙攣的な転写の症状である。ジャン・ヴァルジャンと呼ばれる無意識に導かれて(後れて来る主体がのぞき込むと)制御不能の鏡像が、恋するコゼットの姿に転写されて制御不能の人面瘡の自白のように現われたのであるから、この、いつの間にか良心に導かれていた不当な現実は、種に導かれて予期していたはずの(しかし)思いがけない景色なのである。
恋するコゼットが悪い、不当な現実であるのは、その幽霊を見つけたのはジャン・ヴァルジャンであるのにジャン・ヴァルジャンを探しているようではなく、現在の広がりを組成するのは雌雄異体の気配というより、敷浪打ち寄せる浜辺に出たような制御不能の嫉妬だからである。しかも、恋するコゼットと対いを形成する恋するマリユスは、いつの間にか精神に導かれて本当の鏡像を探すジャン・ヴァルジャンの偽の鏡像、しかしオマエナンダゾと恐喝する思いがけない仮面なのである。


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