碧空1578 phantom circuit86(異常接近するとも忍び入るともつかない)
1578 phantom circuit86(異常接近するとも忍び入るともつかない)
ジャンが異常接近するとも忍び入るともつかないフランスの原野に忽然として「薔薇の茂みが出現する」窃盗の瞬間は、生首がエラーのような(窓に貼られた新聞紙が震えているような)極端に私的な細部となって祟る瞬間であるが、そこで雌雄異体の気配は収斂、全身が陽根であるような(まるで誰かが揺さぶっているような)大地震の隠れなさに被曝するのである。
震える新聞紙が光り出す窓に接近して来た本当の持ち主が盗まれていると感じるのは、後れて来る主体が盗むはずもないが極端に私的なこの世のものが直しさを鎧うことは盗まれるも同然だからである。しかもそれは、盗むも同然なのである。
ジャンが流刑囚の死刑の写真を見て「死が盗まれている」(Jean Genet)と感じるのは、ジャンのものであるはずの死刑が人の姿をして伝染する疫病のように他の誰かの身体に移ったのであるが、それは、生贄であることがイサクの身体に顕れたので生贄であることをアブラハムが度忘れしていられるのとは何か違うかに見えて、そうではなく、どちらも光り出す窃盗の瞬間に異常接近するとも忍び入るともつかないのである。


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