Monday, October 07, 2019

碧空1589 phantom circuit97(とっくに崩れているはずの打ち寄せる敷浪が今崩れる!)

1589 phantom circuit97(とっくに崩れているはずの打ち寄せる敷浪が今崩れる!)  9歳の少女を殺めたアルカモーヌの超自然の冒険は、雁に乗ったニルスの超自然の冒険のように全身が陽根になることである。超自然の冒険とは、とっくに崩れているはずの打ち寄せる世界が今崩れる気配に、颶風の猛威をくぐり抜けるようにして被曝するのである。アルカモーヌの人殺しは、擬死のエラーに面して狼狽からの意わぬ転移発作であるにしても、その強制は、9歳の少女の死体となって祟る。超絶隠語が光り出すが、アルカモーヌをボロボロにする。この、姿を現わすと同時に姿を晦ました強制の底りは、偶然なのか症状なのか極端に私的な細部なのか。  あるいは、悪なのか偽なのかひょっとして個なのか。この、覚醒するような個の発見は、不思議な喪失の気配である。それは、ガレー船に投げ込まれたアルカモーヌがもう一人のアルカモーヌの百足のような増殖でボロボロになる超自然の冒険なのである。9歳の少女の死体を、鏡の奥地に(あるいは、のぞき穴の向こうに)アルカモーヌは発見する。その9歳の少女の死体は、そこでアルカモーヌが終わるもう一人のアルカモーヌであるが(この生首は)アルカモーヌを探しているようではなく、鏡の前にアルカモーヌはもう一人のアルカモーヌよりも後れて出てしまう。つまり、アルカモーヌは場所のような疾しさとなって失踪してしまう、というように超自然の責め苦なのである。  他の誰かの身体にとり返しのつかない刺青が顕れたために精々度忘れしていられる何か、とっくに崩れているはずの打ち寄せる敷浪が今崩れる!この不思議な輪郭喪失は、増殖した刺青を鎧っても治らない。刺青が眼状紋のような威嚇の気配であるのは、不思議な喪失の気配を度忘れしてはいられなくなってぞっとするからであって、入墨されたおぞましい身体を敬遠すれば薄まるような威嚇とは何かまるで違う。もう一人のアルカモーヌの発見は、アルカモーヌが何もしていないはずなのに罰として出現してしまう、といった超自然の刺青であるが、この戦慄が、「薔薇の奇蹟」(Jean Genet)を超絶隠語となって黙示するのである。

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