Saturday, November 30, 2019

碧空1625 phantom circuit133(笑い出さないで彷徨する系譜)

1625 phantom circuit133(笑い出さないで彷徨する系譜)  のぞき穴の向こうは水頭症の奇形膿腫のようなもので、あるいは生首となって人面瘡の如く制御不能に自白する腹話術、あるいは密室となってOedipus の国の如く恐喝じみた神託なのである。腹話術にせよ神託にせよ精神分析にせよ、それは、笑い出さないで彷徨うことである。  「悪徳の栄え」はジュスティーヌに出来た人面瘡の制御不能の白状であるが、この、ジュリエット振りの肥満や尨の症状となって祟る生首は、密室の秘密となって姿を現わすと同時に姿を晦まして祟り返す。密室のミステリは、肥満の(あるいはシャムの双子の)症状の再発なのである。  系統発生的に見える神話、魔法譚、怪談、ミステリ、精神分析は、三重の仮面性(現実性、媒体性、幽霊性)の、その、込み上げて来るおかしさに、しかし笑い出さないで彷徨する系譜である。  秘密過ぎて無も同然の光景に笑い出さないで彷徨う、それが「悪徳の栄え」である。ジュスティーヌは、ジュリエットが終わるところで極端にジュリエット的になる。のぞき穴の向こうの生首はジュスティーヌであるはずなのにジュリエットなので驚くというふうだ。のぞき穴は、ジュスティーヌがジュリエットとなって映る鏡像が、鏡の奥行を抜け出してジュスティーヌの生首となって迫る装置なのである。

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