碧空1627 phantom circuit135(エウロペの誘拐、クリスティーヌの失踪)
1627 phantom circuit135(エウロペの誘拐、クリスティーヌの失踪)
部屋から別の誰かの話し声がしていたのに、クリスティーヌが部屋から出たあと部屋には誰もいない。まるで制御不能に部屋が話すようで、それは、半種個の存在が凌辱するように少女クリスティーヌに降りて来て、クリスティーヌが部屋そのものに膨れ上がってしまうか、尨の症状が出るのである。天使も、輪郭喪失が輪郭であるような存在である。ラウールが見てはならぬのぞき穴から覗き込んだら、クリスティーヌの「壁に写る影」は反範疇の異類のはずである。
エウロペを誘拐、凌辱する魔法の時が世俗の形式に解消すると、異類(ファントム)が影のように、寄り添うクリスティーヌの失踪、まるで記憶喪失のようなミステリに零落する。
つまり、この異類は、宙に浮かんで霊的であることと、世俗的にオペラ座の奈落に棲むファントムであることの間に振動して、密室ではないことが密室であるようなオペラ座の、そのMephistopheles的症状を(その、肥満の再発を)髑髏となって模写して込み上げるおかしさを怺えているのである。(「オペラ座のファントム」Gaston Leroux)


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