碧空1689 nautilus32(天使の矛盾は感染する)
1689 nautilus32(天使の矛盾は感染する)
鸚鵡貝の目の見ひらく「モナリザ」が何度ものぞきに戻らないではいないのも、天使の矛盾が(敷浪の打ち寄せる如く)迫るからである。
「モナリザ」に薄気味悪く見ひらく目は、「モナリザ」に属するのぞき穴なのではない。この、のぞき穴の機能は、「モナリザ」を写す写真機か「モナリザ」を映し出す鏡か、物語る目か化けて出る器官か、「モナリザ」が媒体であることを隠すか媒体であることが隠れないか、その、隠れない「モナリザ」は反直観的で、その半身像は行方不明である。半身像を浮かび上がらせる荒野に行方を晦まして、その失踪は救済のようにも生贄のようにも見える。
その超絶奇形、超絶混合種は、「もう一人のハンス」のように屋根裏部屋に瞬間移動するのであって、屋根裏部屋の死蔵から「モナリザ」が月日を隔てて救出されるような行方不明なのではない。公然と覆い尽くすように、あるいは至るところに潜むように増殖する「モナリザ」の複写と発言の遍在は、この失踪を埋め合わせられない。その増殖は、天使の抜け羽が舞うに過ぎない。潜む鼠やゴキブリや這って絡みつく蔓植物のように迫ったとしても、それは、鸚鵡貝の目の垂迹である。
「モナリザ」に漠として感じられる裂目の気配は、それが半身像なのではなく生首であるというような、存在してはならないテロル、天使の矛盾を、恐れと戦きが発作的に模写する気配である。「モナリザ」は通りかかる。深川森下1981.6.12.am11:30 の川俣軍司のように、一目惚れの瞬間のように通りかかって、天使の矛盾は感染する。


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