碧空1714 nautilus57(おどむ影、おどまぬ影)
1714 nautilus57(おどむ影、おどまぬ影)
言葉や貨幣といった媒体は器官の延長であるが、その、極端に私的なものが極端に私的でなくなるように贖う擬似救済振りは、影の国には属さない。うわさが沈黙も同然に漂う媒質は、来たるべきものが霊的でなくなるはずなのにそうはならない過冷却状態のエルピスであるが、その擬似救済振りは影の国に属する。漂ううわさが狐狸に化かされていたかのように急激に揮発、途絶するのは、何度ものぞきに戻らないではいない影の国が、その、霊的でなくなることの禁止を解除して(過冷却状態ではなくなって)この世のものの現実性を補強する影でしかなくなるのである。
影おどむ壷が置き換え難く誰かの息がかかるような(来たるべきものが霊的でなくなるはずなのにそうはならない)過冷却状態がほんのちょっとした刺激で解消して、影の国が浅瀬に上がってしまう。壷の媒体性に被曝しておどむ影が、単に壷の現実性を補強する影に零落するのである。
ラクルースとラクヌースは、日本語の「言語」となって縁生するために打ち消された宇宙も同然の(従って無も同然の)予定調和的な原語の極一部が夢のように表出したのであるが、それは言霊じみて影おどむ。文脈のなかで浮かび上がるラクルース、ラクヌースの意味は「言語」であるが、ラクルースは男性名詞、ラクヌースは女性名詞である、などという狐狸に化かされているような心躍る擬似救済振りは影の国に属するのである。


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