碧空1736 nautilus79(もう一人のヨハネとは、何が起こっているのか!)
1736 nautilus79(もう一人のヨハネとは、何が起こっているのか!)
Drテンマがヨハンを追跡するのは、ヨハンが、Drテンマが縁生するために打ち消され疚しさとなって潜伏していたものの夢のような思いがけない表出で、この痛恨のエラーに追跡されているからである。(「モンスター」浦沢直樹)
しかし事態は一筋縄ではいかない。この、主格、対格、属格、同格、喩格が収斂したヨハン「の」Drテンマ「の」追跡は、連邦捜査官ルンゲがDrテンマを追跡する、という錯誤の展開(冤罪)となって方解する一方で、ヨハンの双子の妹アンナもDrテンマもヨハンを追跡するが、双方が抱える葛藤は、アンナの場合、ヨハンが救済されるためにヨハンの息の根を止めなければならないという矛盾、Drテンマの場合、生き返らせてはならないヨハンをそれと知らず救い出してしまった痛恨のエラーの埋め合わせに(しかし、まるで処刑するために蘇生させてしまったことになる)ヨハン抹殺の命令が早く来過ぎてしまう焦燥と憂愁である。Drテンマの逃亡に蔽いかけるのは、この焦燥と憂愁なのである。
こうした混乱は一体どこから来るのか。
ヨハンの逃亡は、ヨハンが歩いた痕跡を消去するように(従って消去するかのように)ドイツ各地で殺人事件を起こすことであり、まるで犯行現場に舞い戻る如くに何度ものぞきに戻らないではいないというように殺害を重ねることである。混乱は、初めてなのに舞い戻るかのような殺害現場で人知れず起っていることの精である。
それは、すなわち、何かが起っているとすれば、それが「モンスター」と呼ばれる、というより呼び出された何かばかでかい臨在である。子供が龍や空飛ぶ円盤やエロヒムに呼び出されるように、ハンスが屋根裏部屋でもう一人のハンスに呼び出されるように、しかし反転して「モンスター」が呼び出されているのである。
疫病のように目に見えない「モンスター」を呼び出すために、ヨハンはまるで気を練るように「モンスター」の宿主となって感染するが、この、膨れ上がるような収縮するような被曝は個体としてのヨハンをエラーの如く取り消してしまう。もう一人のヨハンを呼び出してしまうのである。これは、二重人格(ルンゲ連邦捜査官がミステリを解決するために夢想する双子のトリック、すなわちヨハンとなって顕在化するもう一人のDrテンマという症状)に解消されない。それは暗示的ではあるが、暗喩にはならない。もう一人のヨハンは、打ち消されて潜伏するものが夢のように夢中遊行的失踪のように表出するエラーというより、予定調和的な出現と失踪なのである。
一体、もう一人のヨハネとは、何が起こっているのか!


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